物語づくりのワークショップ
2014年福井県都デザインワークショップの進行させていただいた経緯もありこの度福井城址活用ワークショップの進行の依頼を頂きました。
担当の方と何度もミーティングを重ね2回計7時間のワークショップをどの様にすすめるか白紙状態から始めましたが、1日目現状分析、2日目物語づくりのワークショップをすることに決定。簡単ですが、どのように進めたか紹介します。急な募集でもあり、多様な年齢や性別にとんだバランスよい編成ではありませんでしが、まちづくり、城址に関心の深いみなさんにお集まりいただき素晴らしい会にになりました。
1日目現状分析をし今の福井城址周辺の利便性を分析
2日とも参加できる事を条件に集まった12名の参加者に3グループに分かれていただきスタート。秋、そして週末午後の開催でしたが、福井城址周辺が多様性に対応しているか下記のような目線をもってフィールドワーク、分析頂きました。
*障害者、外国人、子供など年齢、国籍、性別のちがう人々にも利用しやすいか。
*夏、冬など季節が違っても利用しやすいか。
*朝、昼、夜、時間が変わっても利用しやすいか。
*公共交通で来る、車で来るなどアクセスはしやすいか。
青いポストイットにはポジティブ情報
赤いポストイットには要改善情報
黄色いポストイットには気づいた事
をフィールドワーク中に書き落とし、集合してからKJ法にて分析。発表をしていただきました。
結果、バリアフリーではない、案内表示もすくなく、隣の中央公園では高校生たちが遊んでいるものの、城址内へは入りにくい雰囲気が漂っている。城址からみつめる公園は綺麗、石垣など特徴的な場所は◎だが周辺の建物で白山がみえなくて残念などの分析がなされました。
2日目は10年後~30年後をイメージしながら物語作成
アイスブレイクとしてカタルタを利用。グループ内で物語をつくる練習をしました。カタルタはカードに「しかし」「だから」「なぜならば」などの接続詞が書かれていて前の人の文章を聞いた後、カードをひきそこに書かれている接続詞で文をつなげていくゲームです。
思いのほかみなさん文章づくりに戸惑っていて、文章をつなげる難しさを実感。普段まちに対する思いは強く自己完結しているが、他者の話を聞いて提案型で案をつくるのは慣れてない様子が見え隠れしました。しかし、慣れてくると予想外の文をつくる参加者に笑い声が出始め打ち解けた様子でした。
その後、1日目の分析シートを振り返りいざ、物語づくりに挑戦。
各自福井城址公園周辺でこんな利用の仕方したいなという物語を書いてもらいグループ内で共有。他者からのフィードバックも交え、物語を改善しました。
グループ内で柱となる発案者を選び、他の人のお話もそこに肉付けしていきながら数十年後福井城址公園周辺で起きているかもしれないという想定の物語を作成。たくさんの登場人物、色んなレイヤーのドラマが同時に起こっている様子が見て取れるものになりました。各グループ発表5分、質疑応答10分。活発な意見交換がされました。
今回のねらいと振り返り
今回のワークショップに「物語作成」をいれたのには理由があります。
色んなワークショップをみてきましたがモノを作る、場所で何かをするというイベント作成型、ものをたてるという建築型ワークシップが多く、そこに人の心の動き、感情やタイムラインでどのように変わっていくかが想像できるものが少ない。それゆえ、場所、物ありきのワークショップ後、建物をつくったけど利用者がいないという現状をたくさん見てきました。
今回はペルソナ設定的感覚で物語を作成し、県民が想像する未来像では何を求めているのか?ほのぼの感、ゆったり過ごす、イベント的賑わい、平常の賑わい、経済的賑わいなど物語から見えてくる欲求を専門家のあつまる懇話会に提案。赤いポストイットが青いポストイットに変わるために、この物語を実現させるにはどのような仕掛けが必要か専門家のみなさんに宿題を出す形で今回の物語づくりワークショップを閉じました。
担当者の熱心な対応とグループ内で参加者の発言を促す役をかってでた職員のみなさん、7時間におよぶワークショップに熱い思いで挑んでいただいた参加者に敬意をもってお礼を申し上げ閉めたいと思います。素晴らしい現場をありがとうございました。